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大阪高等裁判所 昭和57年(行コ)27号 判決

控訴人(原告) 西島裕楽

被控訴人(被告) 下村忠男

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴代理人は、「1 原判決を取消す。2 被控訴人は島本町に対し金一億九八六六万八七一〇円を支払え。3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。

二  当事者双方の主張関係は、次に訂正・付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用し、証拠関係は、本件記録中の原審及び当審における証拠目録記載のとおりであるから、これを引用する。

(訂正)

1  原判決二枚目表一一行目の「右土地の売買を本件売買という」を「、右各土地を一括して「本件土地」といい、右各売買契約を一括して「本件売買」ないし「本件売買契約」という。」と、裏二行目の「違法」を「違法、無効」とそれぞれ改め、四行目の「また、」を削除し、四、五行目の「町議会にはかることなく行なわれた」を「予算に基づかない支出負担行為である」と、七行目の「二三二条の四」を「二三二条の三」とそれぞれ改める。

2  同三枚目表六行目の「本件売買」から七行目までを「本件土地のうち、大阪開発から買受けた前記五筆に該当するとして大阪開発が示した現地の範囲内に、田中三喜男所有の二五九番六(一二二・三一平方メートル)が混在する。」と、八行目の「実在しない土地」を「島本町は大阪開発から第三者所有の土地を誤つて」と、裏初行の「違法」を「違法、無効」とそれぞれ改める。

3  同四枚目裏初行の「実在」から二行目の「いない」までを、「大阪開発から買受けた土地の範囲に含まれていない」と改める。

4  同五枚目表一二行目の「大網的」を「大綱的」と、裏五行目の「本件売買」から六行目の「いう)」までを「本件土地」とそれぞれ改める。

5  同六枚目表末行の「違法」を「違法、無効」と改め、裏三行目から一二行目までを削除する。

(控訴人の主張)

仮に島本町の本件土地の取得が無効ではなく、その代金ないし立替金の支払いが島本町の損害とみることができないとしても、本件土地は都市計画事業の公園用地として取得されたものであるから、島本町が本件土地の取得につき国及び大阪府から補助金の交付を受けるものであつたところ、被控訴人としては、本件土地取得後ただちに補助金の交付申請をすべきであつたにもかかわらず、早くとも昭和五五年一一月まで右申請を怠つていたから、島本町は、本件土地の各売主に支払つた代金額に対する昭和五三年五月(右代金を支払つた翌月)から昭和五五年一一月までの利息相当額の損害を被つたことになるので、被控訴人は右金額を島本町に支払うべき義務がある。

(被控訴人の主張)

控訴人の右主張は争う。

理由

一  当裁判所も控訴人の請求は失当として棄却すべきものと判断するものであつて、その理由は、次に訂正・付加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決七枚目裏九行目の「売買の」を「売買」と改める。

2  同八枚目表一二、一三行目の「証人豊田雅」の次に「の証言により真正に成立したものと認められる乙第二〇号証、原審証人豊田雅、同山田泰造(一部)」を、末行の「村田匡)の次に「(一部)」をそれぞれ挿入し、同行の「被告本人」を「原審における控訴人(一部)、被控訴本人の各」と、裏初行の「この認定」から三行目までを「原審証人山田泰造、同村田匡の証言及び原審における控訴本人の尋問の結果のうち右認定に副わない部分は信用することができず、乙第二八号証、第三〇号証、第五八号証の一、二の各記載は右認定の妨げとはならないし、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。」とそれぞれ改める。

3  同九枚目表末行の「、いずれも」から裏二行目を、「の間で、それぞれ売買契約を成立させたが、各契約書(甲第一三ないし第一五号証)の買主欄に被控訴人が島本町長として記名押印し、また、その頃、右各所有者から直接島本町に本件土地の所有権移転登記が経由された。」と改め、一〇行目の「島本町は、」の次に「本件土地の取得につき、都市計画事業として国と大阪府から補助金の交付を受けるため、」を挿入する。

4  同一〇枚目表一、二行目の「契約を開発協会との間で締結し」を「旨の契約書を開発協会との間で作成し」と、五行目の「できなかつたので」から八行目までを「できず、大阪開発が前記五筆に該当するとして指示した現地の範囲内に含まれていなかつた。」と、裏九行目の「売買契約を締結」を「売買契約書を作成」とそれぞれ改める。

5  同一一枚目表七、八行目の「しかし」から一〇行目までを「したがつて、本件売買契約は自治法二三二条の三に違反するものといえるが、後記六に述べるとおり、その違法性は治癒されたものというべきである。」と、裏五行目の「大網」を「大綱」とそれぞれ改める。

6  同一二枚目表一二行目の「そして」から裏四行目までを削除し、六行目の「同第四二号証」の次に「成立に争いのない乙第五八号証の一、二を挿入し、七行目の「を締結」を「書を作成」と、八行目の「二二日ころ」を「二二日」と、九行目の「三〇日ころ」を「二三日」とそれぞれ改める。

7  同一三枚目表四、五行目の「当裁判所が真正に作成されたものと認める」を「原審証人村田匡の証言により真正に成立したものと認められる」と改める。

8  同一四枚目裏一〇行目の「鑑定」の次に「(評価時点昭和五四年一二月一〇日)」を挿入する。

9  同一六枚目裏初行の「六、〇〇〇円」を「五、七〇〇円」と、三行目の「鑑定の」を「一平方メートルあたり金八万八、三六二円が支出された」とそれぞれ改める。

10  同一八枚目表初行から一〇行目までを「控訴人は、大阪開発から買収した前記五筆の範囲内に田中三喜男所有の二五九番六が混在しているから、その面積の代金に相当する公金が違法に支出され島本町が損害を被つた旨主張するが、右五筆の範囲内に二五九番六が存在しないことは、前記二(一)認定のとおりであるから、控訴人の右主張は失当である(なお、二五九番六の所在が控訴人の主張のとおりであるとしても、成立に争いのない乙第三二号証、第四〇号証及び原審証人村田匡の証言によると、二五九番六は、昭和五五年一一月一八日田中三喜男から島本町に寄附されてその旨の所有権移転登記も経由されたことが認められるから、島本町に損害が残つているとはいえず、この点からみても控訴人の主張は失当である。)」。と、裏初行の「五」を「七」とそれぞれ改める。

二  控訴人は、被控訴人が本件土地の取得につき国や大阪府に対する補助金の交付申請を怠つたため、島本町は利息相当の損害を被つた旨主張するので判断するに、成立に争いのない乙第四七ないし第五〇号証及び原審証人村田匡の証言によると、被控訴人は、大阪府知事及び建設大臣に対し、本件土地の取得に関して、昭和五五年二月二日付の各補助金交付申請書を提出したところ、建設大臣は同月一五日一億一〇〇〇万円を、大阪府知事は同一六日二二〇〇万円をそれぞれ島本町に交付する旨の各通知書を被控訴人に発したことが認められるけれども、右証言によると、被控訴人が右各補助金交付申請者を右のような時期に提出したのは大阪府や建設省の指導に基づくものであることが窺われ、他に被控訴人が補助金の交付申請を怠つていたことを認めるに足りる証拠はないから、控訴人の右主張は採用することができない。

三  よつて、前記判断と同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条により、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 仲西二郎 長谷喜仁 下村浩藏)

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